2015年12月8日火曜日

大阪大学歴史教育研究会・院生報告 《世界史の中の西洋史》

大阪大学歴史教育研究会第92回例会につきまして、以下の通りご案内申し上げます。

なお、詳細につきましては、(当会ではなく)大阪の歴史教育研究会(→リンクは右記)のホームページをご覧ください。

また、大阪の歴教研はセミクローズド形式ですので、初参加の方は、公式ホームページより「初参加の方へ」というページをご覧ください。


日時:2015年12月19日(土)13:00~18:00

*タイムテーブルの都合上、通常より開催時間を早めておりますのでご注意ください。

会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室

プログラム:
院生グループ報告 《世界史の中の西洋史》

(1)Aグループ:今泉奏(共生文明論M1)・竹中詩穂(日本史M1)・方園(東洋史M1)・森下瑶子(西洋史M1)

「「ローマの平和(パクス=ロマーナ)」とユーラシア大陸」

【報告要旨】
「ローマの平和(パクス=ロマーナ)」とは、ローマ帝国の支配下における地中海世界の安定と繁栄を指す言葉で、アウグストゥスの治世以降の約200年間を指す。「パクス=ブリタニカ」や「パクス=アメリカ」のように、この言葉から派生した用語は数多く、その世界史における貢献は少なくないように思われる。しかし、現行の「世界史A」の教科書を見れば、この単語自体はそれほど重要視されていない。なぜ教科書ではこのような記述をしているのか、その背景にはどのような研究動向が存在するのだろうか。その理由を考察するため、本発表では、まず「ローマの平和」やローマ帝国そのものがこれまでどうとらえられてきたのか、当時の社会背景と絡めて研究史を紹介する。次に、新しい研究成果を踏まえ、現代における「ローマの平和」像を提示する。その際には環境学の知見も参照しつつ、ユーラシア大陸全体における「ローマの平和」の姿を描いてみたい。


(2)Bグループ:明山曜子(東洋史M1)・高垣里衣(西洋史M1)・平田良行(日本史M1)・松本智憲(西洋史M1)

「流転する〈ルネサンス〉‒背後にあるものは?‒」

【報告要旨】
〈ルネサンス〉と聞いて思い浮かぶことは何でしょうか?多くの人達が学校で「〈ルネサンス〉とは『再生』を意味し、イタリアを中心に14~16 世紀に起こった文化運動」というように習うと思います。しかし〈ルネサンス〉は「14~16 世紀」の「イタリア」を中心に起こった、この時期“だけ”の文化運動なのでしょうか?また、〈ルネサンス〉はヨーロッパの中で“のみ”起こった文化運動なのでしょうか?「〈ルネサンス〉とは何か?」すなわち〈ルネサンス〉が「持つ意味とは何か」ということよりも、むしろ〈ルネサンス〉に「いかなる意味を持たせるのか」ということに重点を置いて〈ルネサンス〉を捉えてみるとどうでしょうか?一見独立した事象に写るものごとが、つながって見えてきませんか?そこで研究動向を踏まえ、また教科書の内容と比較することによって〈ルネサンス〉を世界史全体の中で、立体的に捉えていこうというのが今回の試みです。


(3)Cグループ:安東峻(日本史M1)・浮田怜奈(東洋史M1)・田村亨(日本史M1)・道越奈苗(西洋史M1)

「フランス革命をどう記述していくか」

【報告要旨】
本報告では、新しい研究成果をフランス革命に関する教科書記述の全体的な潮流のなかにどのように位置づけていくか、という観点から、世界史Aの教科書におけるフランス革命に関する記述について言及し、その問題点や課題について考察を加える。発表の構成としては1.フランス革命の評価・位置づけ、2.フランス革命と人権宣言、3.フランス革命とラテンアメリカ、の三章立てとする。1において、フランス革命についての研究史上の新しい動向、位置づけについて整理した上で、実際に検討を行う。まず、2では特に「人権宣言」について、近代にまで波及する画期性にも目を向けつつ、一方で排除された人々など同時代的な「限界」についても言及していく。3ではフランス革命の動きと大きく関連するハイチ革命について取りあげ、その展開、影響、意義について世界史的な観点から検討し、フランス革命の相対化も試みる。そして最後に本報告のまとめとして,今回の考察を踏まえた新たな教科書記述を提案したい。


第3回同志社グローバル地域文化学会学術講演会

直近のご連絡になってしまいまして、申し訳ありません。
同志社大学での学術講演会のお知らせとなります。

「新しい世界史」や「グローバル・ヒューマニティ」など、直接お話しを伺える貴重な機会とのことです。


第3回同志社グローバル地域文化学会学術講演会
「自と他の弁証法―グローバルな人文社会科学は必要か?」

日時:12月9日(水)15:00~17:00(開場14:45)

講師:羽田正(東京大学東洋文化研究所教授)

場所:志高館(SK)119教室
    地下鉄烏丸線今出川駅1番出口より北に徒歩5分
※入場無料・事前申込不要

主催:同志社大学グローバル地域文化学会
問合せ:同志社大学グローバル地域文化学部事務室
TEL:075-251-2610

詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください。

同志社大学グローバル地域文化学部サイト
http://gr.doshisha.ac.jp/news/2015/1020/news-detail-88.html

同志社オフィシャルサイト
https://www.doshisha.ac.jp/…/20…/1021/event-detail-1464.html
https://www.doshisha.ac.jp/…/2015/1020/news-detail-2824.html

2015年11月23日月曜日

「海域」としての東アジア世界

九州歴史科学研究会12月例会シンポジウムのおしらせをいただきました。


◇2015年12月19日(土)13時~18:20ごろ(※時間の変更にご注意ください)

◇会場:福岡大学中央図書館1階多目的ホール(※会場の変更にご注意ください)


 テーマ:「『海域』としての東アジア世界-交流・漂流・密貿易をめぐって」

日時:12月19日13:00~18:20

会場:福岡大学中央図書館1階多目的ホール

主催:九州歴史科学研究会

共催:福岡大学福岡・東アジア・地域共生研究所

参加費:無料(会員外の方もご参加できます。)※申し込みは不要。


一部 古代・中世の部

司会:廣瀬雄一(名護屋城博物館企画普及担当係長)
13:00~13:35 関周一(宮崎大学准教授)
        「海域交流の担い手 倭人・倭寇」
13:35~14:10 伊藤幸司(九州大学准教授)
        「『入明記』からみる海域交流」
14:10~14:45 森平雅彦(九州大学准教授)
        「朝鮮史から海域史を考える-高麗の事例-」
質疑応答 14:45~15:15
休憩    15:15~15:25

二部 近世の部

司会:鴨頭俊宏(広島大学大学院文学研究科研究員)
15:25~16:00 重松正道(鳥栖市教育委員会主査)
        「朝鮮漂流民の長崎送還-対馬藩田代領の対応を中心として-」
16:00~16:35 尾道博(日本経済大学教授)
        「対馬藩と東アジアにおける商品流通について」
質疑応答 16:35~17:05
休憩    17:05~17:15


三部 コメントと全体討論-水中考古学の立場から-

コメント:17:15~17:40 野上建紀(長崎大学准教授)
全体討論:17:40~18:20

司会:加藤 僚(福岡大学・福岡・東アジア・地域共生研究所員)

懇親会  18:50~

2015年11月20日金曜日

静岡から考える日本史・世界史

静岡歴史教育研究会のお知らせになります。
詳細は以下の通りとなります。

☆本研究会に関する問い合わせにつきましては、
  当会ではなく、静岡歴史教育研究会(岩井先生)までお願いいたします。
 

第十回静岡歴史教育研究会

静岡から考える日本史・世界史――桜井祥行『静岡と世界』合評会


日時:2015125日(土)14:00~1800会場:静岡大学人文A棟6F大会議室
    http://www.shizuoka.ac.jp/access/map_shizuoka.html


入場:無 料

主催:静岡大学人文社会科学部学部長裁量経費
       「歴史教育の地域的拠点形成を目指した
       教材・教授資料の探究と高大連携の推進」
    静岡歴史教育研究会

評 者   貴田潔 (静岡大学人文社会科学部
             美那川雄一 (静岡県立韮山高校
      岡村龍男 (静岡県地域史研究会)

応答者  桜井祥行 (静岡県立稲取高校)

司 会 岩井 淳、今村直樹 (静岡大学人文社会科学部)

今回の研究会では、「静岡から考える日本史・世界史」という共通テーマを設け、桜井祥行先生の著作『静岡と世界』の合評会を行ないます。『静岡と世界』は、幕末以降の時代に焦点を絞り、静岡が朝鮮・中国・ベトナム・南北アメリカといった世界の各地と密接な関係を取り結んだことを興味深く論じています。静岡は、地域の中で完結せず、広く日本史と繋がり、世界史とも接点をもっていました。この本を通して、静岡を日本史や世界史の流れの中におき、大きな文脈に位置づけることができればと考えます。

評者は、大学から貴田先生、高校から美那川先生、地域史研究の立場から岡村先生にお願いしました。多方面から桜井先生の御本の魅力を照らし出し、静岡と日本史・世界史の繋がりについて議論できれば幸いです。

もちろん桜井先生も出席されます。みなさん、ふるってご参加ください。


問合せ先:岩井 淳(静岡大学人文社会科学部)YQS02036[a]nifty.com(*@を[a]としています。)

桜井祥行先生の主要業績
『静岡と世界――静岡県国際化事始め』羽衣出版、2014
『伊豆と世界史――豆州国際化事始め』批評社、2002

2015年11月7日土曜日

大阪大学歴史教育研究会・第91回例会

大阪大学歴史教育研究会の月例会のご案内をお知らせ致します。

本会は、今月で創立10周年となります。
なお、セミクローズド方式の研究会ですので、初参加の方は、本会HP掲載の諸注意をお読み下さい。
また、ご参加を希望される先生方におかれましては、大阪歴史教育研究会事務局(窓口:高木純一さん/連絡先は下記参照)にメールにてお知らせ下さい。


【大阪大学歴史教育研究会・第91回例会】

日時:2015年11月21日(土)13:30~17:30
場所:大阪大学 豊中キャンパス 文学研究科本館2階 大会議室 大阪大学豊中キャンパスマップ

1.清 眞人(きよし まひと、「戦後世界史市民ネット」代表・元近畿大学文芸学部教授)

「「戦後世界史市民ネット」の試行錯誤の歩みと問題提起」

【報告要旨】
「戦後世界史市民ネット」は、「すべての大学に、教養科目『戦後世界史と日本』を!」という問題提起を日本市民におこなうことを目的として、1970年前後に 早稲田大学で青春を共にした数人の人間が核となって立ち上げた小さな市民運動です。まず昨年8月9日に 「いま!ふたたび反戦歌を歌う集い」を早稲田大学構内で開催し、11月8日には三名の提題者による小さなシンポジウムをおこない、運動の口火を切りました (ホームページURL:http://unico.s1.weblife.me/sos/  FaceBook :https://www.facebook.com/sengosekaishi)。 私たちがどんな問題意識からこの運動を始めたのか、またその過程でぶつかった様々な問題と経験を通して、およそ一年数か月を経た現在、上記のスローガンの なかの「戦後世界史」を「20世紀史」に替え、「20世紀史」に関わる教養がどの程度いまの学生たちに蓄えられているかを調査する一大アンケート運動を諸 大学で展開するという構想に辿り着いた経緯、それを報告させていただきます。会場の皆さまとの旺盛な意見交換を切に願っています。


2.秋田 茂(大阪大学大学院文学研究科教授)

「社会経済史学の新たな展開―グローバル経済史の登場」

【報告要旨】
21 世紀になって、社会経済史学は「復権」しつつある。その契機となったのが、2000年に出版されたK.ポメランツのGreat Divergence(『大分岐』名古屋大学出版会、2015年)が投げかけた「近世」の見直しである。「大分岐論争」は、ウォーラーステインの近代世界 システム論にも見直しを迫り、新たな世界史像の構築が求められている。日本の社会経済史学会は、10年おきに学界の「課題と展望」を取り上げた論叢を出版 してきた。本報告では、まず、50周年(1984年)と80周年(2012年)の二つの記念論叢の比較を通じて、1970年代からの社会経済史の研究動向 の変遷を明らかにする。次いで、最新のグローバル経済史研究の現状を紹介し、21世紀における「課題と展望」を考えてみたい。


【参加申し込み・問い合わせ先】

高木 純一(大阪大学大学院文学研究科特任研究員)
Phone & Fax: 06-6850-5101(大阪大学大学院文学研究科日本史研究室)
E-mail: rekikyoken[a]gmail.com
(※スパムメール防止のため、@を[a]に変更しています)
お問い合わせは、できるだけメールにてお願いいたします。

2015年11月4日水曜日

「日本と世界が出会うまち・堺 2015」プロジェクト

 大阪府堺市(主管:堺市博物館)と大阪大学(主管:大阪大学歴史教育研究会)の共催事業として、堺の国際交流の歴史などにスポットをあてた「日本と世界が出会うまち・堺 2015」プロジェクトを実施します。
 このプロジェクトは、主に高校生を対象にして、公募形式によって堺の国際交流の歴史等を研究発表してもらうとともに、歴史を知ることの意義についての一般市民向けの講演も実施するものです。

「日本と世界が出会うまち・堺 2015」研究発表・講演会

日時:2015年11月22日(日)13:00~17:00

場所:サンスクエア堺ホール(JR阪和線堺市駅下車すぐ)

プログラム
(1)中学生・高校生による研究発表
(2)講演:後藤敦史氏(大阪観光大学国際交流学部専任講師)
   「日本と世界が出会ったとき・堺 1854」

参加者の所属校(応募順)
 金蘭千里高等学校、大阪府立堺東高等学校、関西大学中等部・高等部、
 雲雀丘学園中学校、開明中学校、帝塚山学院泉ヶ丘高等学校、
 帝塚山学院高等学校

研究対象・テーマ(順不同)
 百舌鳥古墳群、大阪万博、茨木の隠れキリシタン、
 堺の食文化(茶道と茶菓子)、堺の伝統産業と貿易、
 堺の刃物、大仙古墳(仁徳天皇陵古墳)、ラーメン
 など
 
☆ 詳細につきましては、公式ホームページをご覧ください。

☆ この他、会員の皆様からの情報提供をお待ちしております。

2015年10月29日木曜日

会員の皆様へ

当会では、情報の発信・共有を進めるため、皆様からの研究会・シンポジウムなどのご案内もお待ちしております。→当会事務局までメールにてご連絡ください。

あわせまして、当会からのリンクをご希望の団体におかれましても、ご一報いただけますと幸いです。

2015年10月3日土曜日

イスラームをどう教えるか  


日本歴史学協会より、シンポジウムのお知らせです。
 
 
 
2015年度 日本歴史学協会・日本学術会議史学委員会歴史認識・歴史教育に関する分科会主催

 歴史教育シンポジウム

イスラームをどう教えるか  

   日時:20151017日(土)13301730

    場所:駒澤大学駒沢キャンパス 1号館 1―404教場

開会挨拶:高埜利彦(日本学術会議会員 史学委員会)

趣旨説明:近藤一成(日本歴史学協会歴史教育特別委員会)

報告

 店田廣文(早稲田大学)日本におけるムスリム・コミュニティの現状と課題

 滞日イスラーム教徒(ムスリム)人口は、現在、11万人前後に達している。国内各地に、イスラーム礼拝施設(モスク:別名マスジド)も開設され、その数は83カ所にものぼっている。日本に根付きつつあるムスリム・コミュニティによる社会的諸活動の現状を確認しつつ、ムスリム・コミュニティの存続と地域住民や日本社会との関係構築など、将来に関わる諸課題について考察する。

 

三浦 徹(お茶の水女子大学)「イスラーム世界はなにを語るか」 
中東・イスラーム世界は「遠い異国」という思い込みがある。私たちの身近には、葡萄、トタン、襦袢、モンスーン、シロップ、バザールなど中東起源のものがあり、歴史を通じて接していた。高校・大学生のイスラーム認識の調査では、イスラーム世界への関心の高さとともに「異質」というイメージが強く、「共通性」の理解が必要とされる。大学での授業実践を踏まえ、中東・イスラームをグローバルな地域・歴史軸のなかに位置づける理解の糸口を示したい。



周藤新太郎(県立東葛飾高等学校)「高校生はイスラームの歴史をどのように学んだか」

 世界史B(4単位)での「諸地域世界の交流と再編」におけるイスラームの授業を、いくつかの教育実践をもとに、5~6時間かけておこなった。生徒にとってのイスラームは、昨今のニュースで断片的な知識と関心はもっているが、歴史的知識は皆無に等しい。報告では、生徒がイスラームをどうように受け止め、学んだのかを生徒が綴った記録を紹介し、イスラームをどのように教えたらよいのか、今後の課題を考えてみたい。

 
 
総合討論
閉会挨拶:木村茂光(日本学術会議連携会員)
 会場案内: http://www.komazawa-u.ac.jp/cms/campus/c_komazawa2
連絡先:日本歴史学協会 infoanichireki-kyo.sakura.ne.jp
                                          *@を[a]に変更しています
        http://www.nichirekikyo.sakura.ne.jp
 

2015年8月7日金曜日

会員および新規ご入会希望の皆様へ


事務局からの連絡です。

当会は、通常の活動として、以下の二つを軸として構想しております。

①会員全員を対象とした情報発信(以下のプロセスをとります)

  (a)会員の皆様から事務局に共有を希望する情報を提供
  →(b)提供された情報を、事務局から会員にメールにて発信

②部会活動として、ML(今後、作成・拡充します)を通じた情報の発信・共有


それに関しまして、会員の皆様には、再度のお願いです。

大会に先だちまして、大会当日に参加予定の部会を調査致しましたが、改めて通常時に参加を希望される部会などにつき、「新規入会を希望される皆様へ」(→右記リンク)より、お知らせ下さい。

*会員の皆様には二度手間となってしまい恐縮ではありますが、「歴史総合」の問題を含め、こちらも早急な対応が必要となってきますので、ご協力いただけますよう、お願いします。

*複数部会への参加をご希望の方は、その旨、上記フォームのメッセージ欄よりお知らせ下さい。
  →すでにお答えの方は、事務局までメールにてお知らせ下さい。追って、検討し、お知らせいたします。

新規のご入会を希望される方も同じフォームより、お手続きが可能です

*新規の方には、登録され次第、事務局よりメールをいたしますが、専属の事務員がおりません関係で、(とくにここ数日は作業量が多くなるため)即日の対応はできかねる場合がございます。あらかじめご了承ください。

以上、よろしくお願いいたします。

2015年8月5日水曜日

高大連携歴史教育研究会の発足にあたって

 
油井大三郎(東京女子大学)

 
 去る7月26日、東京大学駒場キャンパスにおいて高大連携歴史教育研究会の創立大会が成功裏に開催された。当日までに登録された会員数は200名を超えたが、当日は、猛暑の中を、北海道から沖縄に至る全国各地から130名の会員が出席され、各種の部会などに分かれて、大変熱心な議論を交わした。

出席者の名簿によると、大学教員が66名、高校中学教員が53名、教科書出版社が8名、予備校・研究所関係者が6名、大学院生が11名(うちスタッフ6名)、マスコミ関係者7名、不明1名の合計152名であった。当日は、呼びかけ人会を昼に開催した後、全国各地の歴史教育関連の地域別・教科別研究会連絡委員会を開催し、連絡委員の派遣を決定した7研究会の活動状況が報告された。次いで、5部会に分かれて、活発な討議が交わされたが、その内容は、各部会の報告をご覧いただきたい。 

部会の終了後、連絡委員会から選出された委員長・副委員長、各部会で選出された部会長・副部会長に編集長候補と会計責任者候補をくわえた14名からなる運営委員会が開催され、総会に提案する規約案や会長・副会長などの役員選出のあり方を検討した。その結果、全国各地から多様なメンバーが参加した研究会だけに相互の交流期間をもった上で、すべての役員を選出した方がよいとの判断から、創立大会では、1年任期の暫定執行部を選ぶにとどめ、来年の大会で2年任期の正式執行部を選ぶ方針を総会に提案することになった。

総会では、冒頭、日本学術会議副会長の井野瀬井久美恵氏、日本歴史学協会歴史教育特別委員会委員長の近藤一成氏から高大研の発足を祝う挨拶をいただいた。その後、規約案が若干の修正のうえ承認された後、今回選出する執行部は1年任期の暫定的なものとすることも了解された。その後、会長の選出に入ったが、立候補者がなかったため、運営委員会から原案提案者の一人である油井が推薦され、総会の承認をえた。会長に選任された油井から、副会長として大阪大学の桃木至朗氏を推薦する旨の提案があり、了承された。

なお、事務局を当面、大阪大学においていただく関係から、運営委員長は桃木副会長が兼務することが承認された。また、規約によれば、副会長は若干名(高校教員や分野の異なる会員など)を選出することになっているが、今回の執行部は1年任期であることから、当面、空席とすることも了解された。さらに、油井会長から、電子版会報・会誌の編集長として池上大祐氏(琉球大学)、会計責任者として中村翼氏(大阪大学)推薦され、承認された。その後、池上編集長から会報にするか、会誌にするかの編集方針が提案され、今後、詰めることになった。また、中村会計責任者から予算案が提案され、承認された。 

総会終了後には、会場を移して、懇親会が開かれたが、会場が満員になるほどの盛況であった。まず、開催校を引き受けて下さった東京大学の外村大氏からご挨拶があり、大変ご苦労をいただいた杉山清彦氏以下のスタッフも紹介された。その後、神戸大名誉教授の髙橋昌明氏の音頭で乾杯が行われ、懇談の後、全国歴史教育研究協議会からは澤野理副会長、歴史教育者協議会からは君島和彦福委員長、日本社会科教育学会からは坂井俊樹会長など、関連団体の代表から高大研発足の祝辞をいただいた。 

このように、高大研の結成は多くの方々から歓迎され、今後の発展が期待されていることが痛感された。高校と大学の壁を超えて、共通の課題を討議し、必要な改革案を提起してゆく場がようやく設定されたことを歓迎する声が書く諸で聞かれた。また、従来、ともするとトップダウンで行われてきた印象の強い教育行政に対して、現場の声をボトムアップで伝えてゆく新しいチャンネルの登場に期待する声もあった。しかし、この新しいチャンネルが活かせるかどうかは、ひとえに各部会などで検討される様々な改革案が適切なタイミングで、現実に根ざした説得力のあるものになるかどうか、にかかっているのであり、結成大会で示された熱い熱気が今後も持続され、改革提言のとりまとめに活かされることを期待している。

高大連携歴史教育研究会規約

 

第1条 名称 本会の名称は高大連携歴史教育研究会とする。 

 
第2条 目的 本会は、歴史教育に関わる高校と大学教員などの交流を通して歴史教育の内容の向上と制度改革の提案を作成することなどを目的とする。

 
第3条 会員 本会の目的に賛同し、一定の会費を納めたものは、運営委員会の了承をえて、会員となることができる。会費とは別に大会参加費を徴収することがあるが、その額は運営委員会で適宜検討することとし、会費を変更する場合は総会の承認を得る。また、会費を滞納したり、本会の目的に反する活動をしたものは会員の資格を失う。

 
第4条 運営(1) 本会の最高意志決定の機関は総会であり、規約の承認や役員の選出・承認などを行う。


第5条 運営(2) 本会は、上記の目的を達成するため、以下の事業をおこなう。

      ①年次大会を開催し、会員による研究発表や教育実践の報告をおこなうとともに、会員間の意見交換を進め、適宜、制度改革などの提言をおこなう。

    ②歴史教科書、教育方法、大学入試改革、教員養成、大学における歴史教育などの部会を設定し、意見交換を進め、適宜、改革提言をおこなう。

    ③全国各地で活動を進めている地域別・教科別研究会との交流を進め、教育内容の向上や制度改革の提言作成などに活かしてゆく。

    ④電子版の会報・会誌を刊行し、会員の教育実践や研究活動の交流を進めるとともに、部会での活動状況や地域別・教科別研究会との交流状況を報告し、会員間の意見交換を促進する。

   ⑤その他、本会の目的に適した事業。

 
第6条 運営(3) 日常の運営は、総会の決定に基づき、運営委員会がおこなう。運営委員は、各部会の部会長と副部会長から選出されるとともに、地域別・教科別研究会から推薦された連絡委員からなる地域別・教科別研究会連絡委員会から選出された運営委員で構成し、総会に報告する。なお、運営委員の選出にあたっては、高校と大学教員のバランスを図るように配慮する。また、会長、副会長、運営委員長、電子版の会報・会誌の編集委員長、会計責任者も、運営委員会に参加するが、場合によっては、副会長が運営委員長を兼務することもありうる。

 
第7条 運営(4) 本会の経費は会員による会費のほか、大会参加費、寄付金その他の収入で賄う。決算案は毎年、会計監査を受け、総会時に予算案とともに承認を得る。

 
第8条 役員 本会の会長、副会長(高校と大学教員からなる若干名)、運営委員長、電子版会報・会誌編集長、会計責任者の任期は2年とし、特別の事情がある場合は再任を 妨げない。会長は、総会で選出し、副会長と営委員長、編集長、会計責任者は、運営委員会の同意を得て、会長が総会に提案し、承認を得る。

 
第9条 所在地 本会の事務局は、会員が所属する機関に設置し、一定年数ごとに設置機関を変更するものとする。
 

第10条 設立 本会は2015年7月26日に設立とする。


附則 この会則は2015年7月26日から発効する。

注)以下の二点に関して、規約に明記することはしないが、創立大会当日に開催された運営委員会の承認と総会の了承をえて、実施することとした。

 
-1 学生・大学院生の会費については、正会員の半額とすること。

-2 会計処理に関しては、会計年度に従って行うこと。

2015年8月4日火曜日

委員会・部会について


当会は、地域別・教科別研究会連絡委員会を通じたネットワークの構築の他、5つの部会活動を通じ、会員間の意見交換を進めるなかで、適宜、改革提言などを行うことを目的としています。

各部会のテーマおよび創設大会で行った議論の要旨は、以下のとおりです。
(より詳しい内容は、会員向けに配信する電子ジャーナルにておって報告いたします)


●地域別・教科別研究会連絡委員会

地域別・教科別研究会の現状交流を目的とした地域別・教科別研究会連絡委員会には、
以下の七つの研究会を中心に、オブザーバーを含めた多くの方が参加した。
七つの研究会とは、世界史教育研究会(新潟県)宮城県高等学校社会科教育研究会歴史部会大阪大学歴史教育研究会高等学校歴史教育研究会茨城大地域研究会静岡歴史教育研究会京都高等学校社会科研究会であり、いずれも連絡委員の派遣を決定している。
連絡委員会は、岩井淳の司会のもとで進行した。最初に七つの研究会の代表が、①研究会の活動開始時期、②研究会の構成員、②活動内容、③高大連携歴史教育研究会に望むことなどについて話した。
その後、七つの研究会の代表が別室に移り、各研究会の互選という形を取って、委員長と副委員長を選出した。前者には高等学校歴史教育研究会の代表の油井大三郎が、後者には京都高等学校社会科研究会の川島啓一が選ばれた。
今後、地域別・教科別研究会連絡委員会には、各地域・各教科別に多くの研究会が参加することが見込まれ、その経験交流を主な課題とすることが期待される。


●第1部会
 
《テーマ》 高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方

教科書改革と歴史的思考力の育成を扱う第一部会には40人余りが参加し、桃木至朗の司会のもとで活発な議論がかわされた。
自己紹介のあとの自由発言では、他の部会との関係や、歴史的思考力の内容を明確化する必要について多くの意見・要望が出されたほか、教える対象の生徒、教科書と掲載用語、資料、評価法・入試、教職教育などについても、教科書と思考力という2つの課題の間に矛盾があるという指摘を含めて、発言が相次いだ。
これにもとづき今後、指導要領改定や新型入試の施行などに間に合うように可能な提言をまとめる方向で活動することが了承され、そのためのワーキンググループとして高大双方から9名(うち女性2名)が選出された。
部会長には桃木、副部会長に小川幸司(長野県)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、加盟組織との協力による公開研究会など、活動を可視化するためのイベントも開催できればと考えている。


●第2部会

《テーマ》 各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築

データベース構築や資料収集に関する第二部会は、20数名が出席して坂井俊樹の司会のもとに、まず自己紹介をかねてこの分科会に期待することなどを自由に述べてから、フリーディスカッションとなった。
とくに高校教員が多く出席していた第二部会では、教員の退職にともなって蓄積された授業方法を継承する必要や、アクティブ・ラーニングの導入に備えて協力して指導法を開発することへの期待など、これまで各先生方が開発・蓄積してきた教材や教案をデータベースとして蓄積して公開し共有していくことについて、熱い期待が述べられた。
歴史教育の現状と今後の制度変更の展開についても議論があり、現状認識を共有しつつ可能なデータ収集の方法を模索してゆくことが確認された。ワーキンググループには多くの方が参加を希望されて10名で構成することになり、部会長に小浜正子、副部会長に後藤誠司(京都)を選出した。
今後、会報の編集担当とも協力しつつ、データ収集・共有の方法を考えてゆきたい。


●第3部会
 
《テーマ》 高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方

高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方を担当する第三部会には、40人弱の人が参加し、油井大三郎の司会のもとで活発な議論が行われた。
油井は、この部会では、歴史教育の内容を現場の状況を踏まえて、ボトムアップで提案していく必要性を強調し、今文科省で検討されている「歴史基礎(仮称)」は、日本学術会議が、世界史未履修問題から明らかになった歴史教育の状況を改革する「提言」を踏まえていることを述べた。
分科会での討論は、「歴史基礎」の具体化をめざすことを前提に、文科省の研究開発学校になっている神戸大学付属中等学校のプランなどが報告され、取り扱う時代、歴史学習の基礎学力、入試との関係、担当教員の現状など、様々な意見が出された。この出された意見を集約し、新しい歴史科目を構築していくことが今後の課題となった。
そのために、ワーキンググループとして高大双方から6人が選ばれ、部会長に君島和彦(東京)、副部会長に藤村泰夫(山口県)が選ばれた。


●第4部会
 
《テーマ》 大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方

第四部会は、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(以下それぞれ、「大学新テスト」「高校新テスト」)などの検討およびそれらにおける歴史系出題のあり方を検討する部会である。
30人ほどが参加し、当日の司会は割田が務めた。そこでは、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」のタイムスケジュールに従うと、2016年度に作問イメージが公表されるとされていることから、このスケジュールをにらみつつ、提言を準備していくこととなった。また、そもそも、両「新テスト」および私立を含めた歴史系の出題で問われるべきものは何かが根本的な問題であり、この問題は他の部会との連携が不可欠あるという議論が行われた。
提言を行い、根本的な問いを考えていくために、まずは情報の収集が不可欠であり、現行の大学入試センター試験・個々の大学の入試に対する高校側の評価や各大学での入試の考え方などについて様々な情報を得るために部会全員が参加するメーリングリストを作ることとした。
さらに、具体的な提言をまとめていく際に中心となるワーキングループとして、11人(高校5人、大学6人)が選ばれた。部会長には割田聖史、副部会長には中切正人(岐阜県)が選ばれた。


●第5部会
 
《テーマ》 大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方

大学における歴史系の教養教育と教員養成課程のあり方を問う第五部会には、30人が参加し、岩井淳の司会のもとで議論がかわされた。参加者には、高校や大学の教員以外に大学院生も含まれていた。
最初に自己紹介を行なったが、その中で各大学や高校、研究会での取り組みが紹介され、変貌を余儀なくされる歴史系の教養教育と教員養成課程の姿が浮き彫りにされ、とても興味深かった。自己紹介後に司会からお願いして、歴史系の教養教育について大阪大学の取り組みを秋田茂に、歴史系の教員養成について静岡歴史教育研究会の実践を浜松西高校の松井秀明にお話しいただき、意見交換を行なった。そこでは、大学の教養教育が高校教育からの入口となり、高校教員などを養成する教員養成が高校への出口となることが確認され、ともに高大連携の観点から見て重要な意味をもつことが認識された。
今後は、教養教育と教員養成課程について各大学のデータを集め、現状を把握することが必要であろう。その作業に着手し、提言をまとめるためのワーキンググループを高大双方から8名選出した。部会長には岩井、副部会長に戸川点(都立町田高校)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、第5部会や高大連携歴史教育研究会のメンバーとの意見交換を進めていきたい。

高大連携歴史教育研究会創立のご報告


当会は、下記の要領にて創設大会を行い、2015年7月26日をもって創立されました。
今後ますますのご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。



高大連携歴史教育研究会創立大会


日程 2015726日(日)

場所 東京大学駒場キャンパス 18号館

参加者 139名 (非会員の運営スタッフ6名、マスコミ関係者7名を除く)
      *大学教員66名 高校中学教員53名 大学院生5名
         教科書出版社関係者8名 予備校関係者その他7名

会場整理費 会員 無料  非会員 1,000

プログラム

・12:00-13:00
呼びかけ人会 於、18号館ホール 司会 油井大三郎氏

・13:00-14:00
地域別・教科別研究会連絡委員会 於、18号館ホール  司会 岩井淳氏
  
・14:00-16:00

  部会1 於、18号館4階コラボ1 司会 桃木至朗氏
                     *高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方

   部会2 於、コラボ2 司会 坂井俊樹氏 
                     *各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築

   部会3 於、コラボ3  司会 油井大三郎氏 
            *高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方

   部会4 於、コラボ4 司会 割田聖史氏    
                     *大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方

   部会5 於、18号館4階オープン・スペース 司会 岩井淳氏 
      *大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方

16:00-17:00  
   運営委員会 於、コラボ1 司会 油井大三郎氏

・17:00-18:00
総会 於、18号館ホール 司会 金井光太朗氏

 

2015年7月29日水曜日

高大連携歴史教育研究会結成の呼びかけ


 2006年秋に高等学校で世界史未履修問題が表面化して以来、高等学校の歴史教育のあり方をめぐって様々な意見が表明されてきました。その中では、大学入試が高等学校の歴史教育に大きな影響を及ぼしているため、大学と高等学校の教員が一緒に率直な意見交換ができる場の必要性を指摘する意見も多くみられました。

 2014年夏には、日本学術会議高校歴史教育分科会、日本歴史学協会歴史教育特別委員会、高等学校歴史教育研究会の3者による高等学校の歴史教育と大学入試に関係するアンケート調査が実施され、2ケ月という短期間であったにも拘わらず、700名近い回答が寄せられました。その3分の2は高校教員、3分の1は大学教員でした。つまり、高等学校や大学の歴史教育のあり方に関して、高等学校と大学の壁を超えて多くの方が強い関心を寄せられていることが明らかになったと思います。このアンケート結果は多くのマスコミでも詳しく報道され、より広い社会的関心も呼んだと思います。

 その上、2019年からは「高等学校基礎学力テスト」が、2020年にはセンター試験に代わる「大学入学希望者学力評価テスト」の導入が予定され、各大学の個別試験の多様化なども提案されています。また、初等中等教育の教育課程に関しては、全教科におけるアクティヴ・ラーニングの実施や「日本史の必修化の扱いなど地理歴史科の在り方」の検討が、2016年度中に行われるといわれています。まさに、これから数年間で高校教育のみならず、大学入試の大きな改革が予想されるだけに、歴史教育分野においても、高等学校や大学の壁を超えた討論によってより建設的な案の検討が必要になると思います。また、大学教員の間でも、専門的に歴史研究をしている研究者が多い人文系と、教育現場の状況に詳しい研究者が多い教育系との交流の必要性が以前から指摘されてきました。

 このように高等学校と大学間、大学内の学部間などの壁を超えた対話の必要性が一層高まる一方で、近年、全国各地では高大連携により歴史教育の改善をめざす研究会が発足し、高校教員むけの夏期セミナーを実施したり、教育実践の交流を行ってきています。これらの成果を全国的に共有することも重要になっていると思います。勿論、歴史教育に関してはすでに多くの全国的学会や研究会が存在していますが、それらは高校教員と大学教員が別々に参加している場合が多く、高大連携の全国的な研究会を立ち上げる意義は十分あると考えています。その際、新しい全国研究会は、各地の研究会の成果を年1回の大会やインターネットなどを通じて、交流し、成果を共有するとともに、必要に応じて改革案の提案を行うなどの形で、各地の地域別研究会と協力関係をもってゆくことが大切と思います。

 そこで、この機会に大学や高等学校の壁を超えた「高大連携歴史教育研究会」を発足させ、歴史教育実践の交流や意見交換を恒常化させ、必要な改革提言をまとめていったらどうかと考えました。具体的な課題としては、①高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方、②各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築、③高等学校における歴史系新科目のあり方、④大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方、⑤大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方、などが考えられます。これらの課題ごとに部会を設置し、意見交換を進めていったらどうかと考えています。また、近年は歴史教育の分野でも諸外国との国際交流が活発になっていますので、この研究会でも国際交流を重視する必要があると考えています。

 いろいろご多用とは思いますが、ぜひこの「高大連携歴史教育研究会」の結成に賛同いただき、参加してくださるように心から呼びかける次第です。


2015514

呼びかけ人一同

北海道: 赤間幸人(北海道教育庁)、臼杵勲(札幌学院大)、中村和之(函館高専)、長峰博之(北嶺中高)、橋本雄(北大)、吉嶺茂樹(有朋高通信制課程)

東北: 今野日出晴(岩手大)、篠塚明彦(弘前大)、安達宏昭・小田中直樹・芳賀満(東北大)、池田実(仙台工業高)、小林康一(仙台二高)、千葉博幸(仙台一高)、手代木章宏(仙台二高)、兵藤研(名取北高)、高橋徹(山形南高)

関東: 内木裕(栃木県立石橋高)、澁谷浩一・深澤安博(茨城大)、岡崎賢治(元茨城県立高)、伊藤純朗・国分麻里(筑波大)、前嶋匠(茗渓学園高)、澤邉和浩(千葉県立木更津高)、杉山清彦・外村大・羽田正・姫岡とし子・吉澤誠一郎(東大)、三谷博(跡見学園女子大)、戸川点(都内定時制高)、笹川和則(都立清瀬高)、皆川雅樹(専大附属高)、金井光太朗・小松久男・篠原琢・鈴木茂(東外大)、日高智彦(成蹊中・高)、加藤健(都立墨田川高)、木村茂光(帝京大)、赤城隆治(日歴協)、大木匡尚(都立農業高)、君島和彦(東京学芸大名)、小嶋茂稔・坂井俊樹(東京学芸大)、小澤実・長谷川修一(立教大)、近藤孝弘・近藤一成(早稲田大)、野々瀬浩司(慶応大)、小浜正子(日本大)、木畑洋一(成城大)、南塚信吾(世界史研)、近江吉明(専修大)、松本通孝(元青山学院高等部)、割田聖史(青山学院大)、小塩和人(上智大)、高田幸男(明治大)、貴堂嘉之・中野聰(一橋大)、茂木敏夫・油井大三郎(東京女子大)、成田龍一(日本女子大)、大門正克(横浜国大)、皆川みずゑ(近現代史教育研)、石橋功(神奈川県歴史教育研究会)、澤野理(神奈川県立大師高)、佐藤雅信(神奈川県立横須賀大津高)
                          
中部: 竹田和夫(新潟県立新発田高)、大串潤児・久保亨(信州大)、小川幸司(長野県立高校)、松井秀明(静岡県立浜松西高)、今村直樹・岩井淳・戸部健(静岡大)三田昌彦(名古屋大学)、加藤史朗(愛知県大名)、藤本博(南山大)、磯谷正行(愛知県世界史教育研究会)、土屋武志・船尾日出志(愛知教育大)、浅野伸一(岐阜県立岐山高)、冨澤要樹(三重県立上野高)
    
近畿: 永原陽子・服部良久(京都大)、原田敬一(佛教大)、武島良成(京都教育大)、中村薫(同志社大講)、川島啓一(同志社高)、後藤誠司(京都市立日吉ケ丘高)、堀江嘉明(京都府立高)、本郷真紹(立命館大)、今宿純男(立命館教育研究・研修センター)、八木誠(立命館宇治高)、秋田茂・飯塚一幸・堤一昭・中村翼・桃木至朗(大阪大)、杉谷眞佐子(関西大名)、鵜飼昌男・矢部正明(関西大中高)、清真人(近畿大)、髙橋昌明(神戸大名)、山崎健(神戸大)、勝山元照(神戸大附属中等教育学校)、原田智仁(兵庫教育大)、置村公男(六甲学園中高)、井野瀬久美恵(甲南大)

中国・四国: 丸橋充拓(島根大)、岡本弘道(広島県立大)、宮本英征(広大附属中高)、南雲泰輔(山口大)、磯部賢治(山口県立豊浦高)、藤村泰夫(山口県立宇部西高)、福田喜彦(愛媛大)、梅津正美(鳴門教育大)、山本雄一郎(香川県立丸亀高)

九州・沖縄: 清水和裕(九大)、池上大祐・星乃治彦(福岡大)、井口由布(立命館アジア太平洋大)、鶴島博和(熊本大)、平井英徳(熊本県立熊本北高)、牛嶋秀政(熊本県立熊本高)、武井弘一(琉球大)

  
以上、大学関係86名、高校関係42名、合計128
なお、各所属末尾の名は名誉教授を、
講は非常勤講師を意味し、元は退職前の職場に追加した。