2015年8月7日金曜日

会員および新規ご入会希望の皆様へ


事務局からの連絡です。

当会は、通常の活動として、以下の二つを軸として構想しております。

①会員全員を対象とした情報発信(以下のプロセスをとります)

  (a)会員の皆様から事務局に共有を希望する情報を提供
  →(b)提供された情報を、事務局から会員にメールにて発信

②部会活動として、ML(今後、作成・拡充します)を通じた情報の発信・共有


それに関しまして、会員の皆様には、再度のお願いです。

大会に先だちまして、大会当日に参加予定の部会を調査致しましたが、改めて通常時に参加を希望される部会などにつき、「新規入会を希望される皆様へ」(→右記リンク)より、お知らせ下さい。

*会員の皆様には二度手間となってしまい恐縮ではありますが、「歴史総合」の問題を含め、こちらも早急な対応が必要となってきますので、ご協力いただけますよう、お願いします。

*複数部会への参加をご希望の方は、その旨、上記フォームのメッセージ欄よりお知らせ下さい。
  →すでにお答えの方は、事務局までメールにてお知らせ下さい。追って、検討し、お知らせいたします。

新規のご入会を希望される方も同じフォームより、お手続きが可能です

*新規の方には、登録され次第、事務局よりメールをいたしますが、専属の事務員がおりません関係で、(とくにここ数日は作業量が多くなるため)即日の対応はできかねる場合がございます。あらかじめご了承ください。

以上、よろしくお願いいたします。

2015年8月5日水曜日

高大連携歴史教育研究会の発足にあたって

 
油井大三郎(東京女子大学)

 
 去る7月26日、東京大学駒場キャンパスにおいて高大連携歴史教育研究会の創立大会が成功裏に開催された。当日までに登録された会員数は200名を超えたが、当日は、猛暑の中を、北海道から沖縄に至る全国各地から130名の会員が出席され、各種の部会などに分かれて、大変熱心な議論を交わした。

出席者の名簿によると、大学教員が66名、高校中学教員が53名、教科書出版社が8名、予備校・研究所関係者が6名、大学院生が11名(うちスタッフ6名)、マスコミ関係者7名、不明1名の合計152名であった。当日は、呼びかけ人会を昼に開催した後、全国各地の歴史教育関連の地域別・教科別研究会連絡委員会を開催し、連絡委員の派遣を決定した7研究会の活動状況が報告された。次いで、5部会に分かれて、活発な討議が交わされたが、その内容は、各部会の報告をご覧いただきたい。 

部会の終了後、連絡委員会から選出された委員長・副委員長、各部会で選出された部会長・副部会長に編集長候補と会計責任者候補をくわえた14名からなる運営委員会が開催され、総会に提案する規約案や会長・副会長などの役員選出のあり方を検討した。その結果、全国各地から多様なメンバーが参加した研究会だけに相互の交流期間をもった上で、すべての役員を選出した方がよいとの判断から、創立大会では、1年任期の暫定執行部を選ぶにとどめ、来年の大会で2年任期の正式執行部を選ぶ方針を総会に提案することになった。

総会では、冒頭、日本学術会議副会長の井野瀬井久美恵氏、日本歴史学協会歴史教育特別委員会委員長の近藤一成氏から高大研の発足を祝う挨拶をいただいた。その後、規約案が若干の修正のうえ承認された後、今回選出する執行部は1年任期の暫定的なものとすることも了解された。その後、会長の選出に入ったが、立候補者がなかったため、運営委員会から原案提案者の一人である油井が推薦され、総会の承認をえた。会長に選任された油井から、副会長として大阪大学の桃木至朗氏を推薦する旨の提案があり、了承された。

なお、事務局を当面、大阪大学においていただく関係から、運営委員長は桃木副会長が兼務することが承認された。また、規約によれば、副会長は若干名(高校教員や分野の異なる会員など)を選出することになっているが、今回の執行部は1年任期であることから、当面、空席とすることも了解された。さらに、油井会長から、電子版会報・会誌の編集長として池上大祐氏(琉球大学)、会計責任者として中村翼氏(大阪大学)推薦され、承認された。その後、池上編集長から会報にするか、会誌にするかの編集方針が提案され、今後、詰めることになった。また、中村会計責任者から予算案が提案され、承認された。 

総会終了後には、会場を移して、懇親会が開かれたが、会場が満員になるほどの盛況であった。まず、開催校を引き受けて下さった東京大学の外村大氏からご挨拶があり、大変ご苦労をいただいた杉山清彦氏以下のスタッフも紹介された。その後、神戸大名誉教授の髙橋昌明氏の音頭で乾杯が行われ、懇談の後、全国歴史教育研究協議会からは澤野理副会長、歴史教育者協議会からは君島和彦福委員長、日本社会科教育学会からは坂井俊樹会長など、関連団体の代表から高大研発足の祝辞をいただいた。 

このように、高大研の結成は多くの方々から歓迎され、今後の発展が期待されていることが痛感された。高校と大学の壁を超えて、共通の課題を討議し、必要な改革案を提起してゆく場がようやく設定されたことを歓迎する声が書く諸で聞かれた。また、従来、ともするとトップダウンで行われてきた印象の強い教育行政に対して、現場の声をボトムアップで伝えてゆく新しいチャンネルの登場に期待する声もあった。しかし、この新しいチャンネルが活かせるかどうかは、ひとえに各部会などで検討される様々な改革案が適切なタイミングで、現実に根ざした説得力のあるものになるかどうか、にかかっているのであり、結成大会で示された熱い熱気が今後も持続され、改革提言のとりまとめに活かされることを期待している。

高大連携歴史教育研究会規約

 

第1条 名称 本会の名称は高大連携歴史教育研究会とする。 

 
第2条 目的 本会は、歴史教育に関わる高校と大学教員などの交流を通して歴史教育の内容の向上と制度改革の提案を作成することなどを目的とする。

 
第3条 会員 本会の目的に賛同し、一定の会費を納めたものは、運営委員会の了承をえて、会員となることができる。会費とは別に大会参加費を徴収することがあるが、その額は運営委員会で適宜検討することとし、会費を変更する場合は総会の承認を得る。また、会費を滞納したり、本会の目的に反する活動をしたものは会員の資格を失う。

 
第4条 運営(1) 本会の最高意志決定の機関は総会であり、規約の承認や役員の選出・承認などを行う。


第5条 運営(2) 本会は、上記の目的を達成するため、以下の事業をおこなう。

      ①年次大会を開催し、会員による研究発表や教育実践の報告をおこなうとともに、会員間の意見交換を進め、適宜、制度改革などの提言をおこなう。

    ②歴史教科書、教育方法、大学入試改革、教員養成、大学における歴史教育などの部会を設定し、意見交換を進め、適宜、改革提言をおこなう。

    ③全国各地で活動を進めている地域別・教科別研究会との交流を進め、教育内容の向上や制度改革の提言作成などに活かしてゆく。

    ④電子版の会報・会誌を刊行し、会員の教育実践や研究活動の交流を進めるとともに、部会での活動状況や地域別・教科別研究会との交流状況を報告し、会員間の意見交換を促進する。

   ⑤その他、本会の目的に適した事業。

 
第6条 運営(3) 日常の運営は、総会の決定に基づき、運営委員会がおこなう。運営委員は、各部会の部会長と副部会長から選出されるとともに、地域別・教科別研究会から推薦された連絡委員からなる地域別・教科別研究会連絡委員会から選出された運営委員で構成し、総会に報告する。なお、運営委員の選出にあたっては、高校と大学教員のバランスを図るように配慮する。また、会長、副会長、運営委員長、電子版の会報・会誌の編集委員長、会計責任者も、運営委員会に参加するが、場合によっては、副会長が運営委員長を兼務することもありうる。

 
第7条 運営(4) 本会の経費は会員による会費のほか、大会参加費、寄付金その他の収入で賄う。決算案は毎年、会計監査を受け、総会時に予算案とともに承認を得る。

 
第8条 役員 本会の会長、副会長(高校と大学教員からなる若干名)、運営委員長、電子版会報・会誌編集長、会計責任者の任期は2年とし、特別の事情がある場合は再任を 妨げない。会長は、総会で選出し、副会長と営委員長、編集長、会計責任者は、運営委員会の同意を得て、会長が総会に提案し、承認を得る。

 
第9条 所在地 本会の事務局は、会員が所属する機関に設置し、一定年数ごとに設置機関を変更するものとする。
 

第10条 設立 本会は2015年7月26日に設立とする。


附則 この会則は2015年7月26日から発効する。

注)以下の二点に関して、規約に明記することはしないが、創立大会当日に開催された運営委員会の承認と総会の了承をえて、実施することとした。

 
-1 学生・大学院生の会費については、正会員の半額とすること。

-2 会計処理に関しては、会計年度に従って行うこと。

2015年8月4日火曜日

委員会・部会について


当会は、地域別・教科別研究会連絡委員会を通じたネットワークの構築の他、5つの部会活動を通じ、会員間の意見交換を進めるなかで、適宜、改革提言などを行うことを目的としています。

各部会のテーマおよび創設大会で行った議論の要旨は、以下のとおりです。
(より詳しい内容は、会員向けに配信する電子ジャーナルにておって報告いたします)


●地域別・教科別研究会連絡委員会

地域別・教科別研究会の現状交流を目的とした地域別・教科別研究会連絡委員会には、
以下の七つの研究会を中心に、オブザーバーを含めた多くの方が参加した。
七つの研究会とは、世界史教育研究会(新潟県)宮城県高等学校社会科教育研究会歴史部会大阪大学歴史教育研究会高等学校歴史教育研究会茨城大地域研究会静岡歴史教育研究会京都高等学校社会科研究会であり、いずれも連絡委員の派遣を決定している。
連絡委員会は、岩井淳の司会のもとで進行した。最初に七つの研究会の代表が、①研究会の活動開始時期、②研究会の構成員、②活動内容、③高大連携歴史教育研究会に望むことなどについて話した。
その後、七つの研究会の代表が別室に移り、各研究会の互選という形を取って、委員長と副委員長を選出した。前者には高等学校歴史教育研究会の代表の油井大三郎が、後者には京都高等学校社会科研究会の川島啓一が選ばれた。
今後、地域別・教科別研究会連絡委員会には、各地域・各教科別に多くの研究会が参加することが見込まれ、その経験交流を主な課題とすることが期待される。


●第1部会
 
《テーマ》 高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方

教科書改革と歴史的思考力の育成を扱う第一部会には40人余りが参加し、桃木至朗の司会のもとで活発な議論がかわされた。
自己紹介のあとの自由発言では、他の部会との関係や、歴史的思考力の内容を明確化する必要について多くの意見・要望が出されたほか、教える対象の生徒、教科書と掲載用語、資料、評価法・入試、教職教育などについても、教科書と思考力という2つの課題の間に矛盾があるという指摘を含めて、発言が相次いだ。
これにもとづき今後、指導要領改定や新型入試の施行などに間に合うように可能な提言をまとめる方向で活動することが了承され、そのためのワーキンググループとして高大双方から9名(うち女性2名)が選出された。
部会長には桃木、副部会長に小川幸司(長野県)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、加盟組織との協力による公開研究会など、活動を可視化するためのイベントも開催できればと考えている。


●第2部会

《テーマ》 各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築

データベース構築や資料収集に関する第二部会は、20数名が出席して坂井俊樹の司会のもとに、まず自己紹介をかねてこの分科会に期待することなどを自由に述べてから、フリーディスカッションとなった。
とくに高校教員が多く出席していた第二部会では、教員の退職にともなって蓄積された授業方法を継承する必要や、アクティブ・ラーニングの導入に備えて協力して指導法を開発することへの期待など、これまで各先生方が開発・蓄積してきた教材や教案をデータベースとして蓄積して公開し共有していくことについて、熱い期待が述べられた。
歴史教育の現状と今後の制度変更の展開についても議論があり、現状認識を共有しつつ可能なデータ収集の方法を模索してゆくことが確認された。ワーキンググループには多くの方が参加を希望されて10名で構成することになり、部会長に小浜正子、副部会長に後藤誠司(京都)を選出した。
今後、会報の編集担当とも協力しつつ、データ収集・共有の方法を考えてゆきたい。


●第3部会
 
《テーマ》 高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方

高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方を担当する第三部会には、40人弱の人が参加し、油井大三郎の司会のもとで活発な議論が行われた。
油井は、この部会では、歴史教育の内容を現場の状況を踏まえて、ボトムアップで提案していく必要性を強調し、今文科省で検討されている「歴史基礎(仮称)」は、日本学術会議が、世界史未履修問題から明らかになった歴史教育の状況を改革する「提言」を踏まえていることを述べた。
分科会での討論は、「歴史基礎」の具体化をめざすことを前提に、文科省の研究開発学校になっている神戸大学付属中等学校のプランなどが報告され、取り扱う時代、歴史学習の基礎学力、入試との関係、担当教員の現状など、様々な意見が出された。この出された意見を集約し、新しい歴史科目を構築していくことが今後の課題となった。
そのために、ワーキンググループとして高大双方から6人が選ばれ、部会長に君島和彦(東京)、副部会長に藤村泰夫(山口県)が選ばれた。


●第4部会
 
《テーマ》 大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方

第四部会は、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(以下それぞれ、「大学新テスト」「高校新テスト」)などの検討およびそれらにおける歴史系出題のあり方を検討する部会である。
30人ほどが参加し、当日の司会は割田が務めた。そこでは、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」のタイムスケジュールに従うと、2016年度に作問イメージが公表されるとされていることから、このスケジュールをにらみつつ、提言を準備していくこととなった。また、そもそも、両「新テスト」および私立を含めた歴史系の出題で問われるべきものは何かが根本的な問題であり、この問題は他の部会との連携が不可欠あるという議論が行われた。
提言を行い、根本的な問いを考えていくために、まずは情報の収集が不可欠であり、現行の大学入試センター試験・個々の大学の入試に対する高校側の評価や各大学での入試の考え方などについて様々な情報を得るために部会全員が参加するメーリングリストを作ることとした。
さらに、具体的な提言をまとめていく際に中心となるワーキングループとして、11人(高校5人、大学6人)が選ばれた。部会長には割田聖史、副部会長には中切正人(岐阜県)が選ばれた。


●第5部会
 
《テーマ》 大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方

大学における歴史系の教養教育と教員養成課程のあり方を問う第五部会には、30人が参加し、岩井淳の司会のもとで議論がかわされた。参加者には、高校や大学の教員以外に大学院生も含まれていた。
最初に自己紹介を行なったが、その中で各大学や高校、研究会での取り組みが紹介され、変貌を余儀なくされる歴史系の教養教育と教員養成課程の姿が浮き彫りにされ、とても興味深かった。自己紹介後に司会からお願いして、歴史系の教養教育について大阪大学の取り組みを秋田茂に、歴史系の教員養成について静岡歴史教育研究会の実践を浜松西高校の松井秀明にお話しいただき、意見交換を行なった。そこでは、大学の教養教育が高校教育からの入口となり、高校教員などを養成する教員養成が高校への出口となることが確認され、ともに高大連携の観点から見て重要な意味をもつことが認識された。
今後は、教養教育と教員養成課程について各大学のデータを集め、現状を把握することが必要であろう。その作業に着手し、提言をまとめるためのワーキンググループを高大双方から8名選出した。部会長には岩井、副部会長に戸川点(都立町田高校)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、第5部会や高大連携歴史教育研究会のメンバーとの意見交換を進めていきたい。

高大連携歴史教育研究会創立のご報告


当会は、下記の要領にて創設大会を行い、2015年7月26日をもって創立されました。
今後ますますのご支援を賜りますよう、よろしくお願いいたします。



高大連携歴史教育研究会創立大会


日程 2015726日(日)

場所 東京大学駒場キャンパス 18号館

参加者 139名 (非会員の運営スタッフ6名、マスコミ関係者7名を除く)
      *大学教員66名 高校中学教員53名 大学院生5名
         教科書出版社関係者8名 予備校関係者その他7名

会場整理費 会員 無料  非会員 1,000

プログラム

・12:00-13:00
呼びかけ人会 於、18号館ホール 司会 油井大三郎氏

・13:00-14:00
地域別・教科別研究会連絡委員会 於、18号館ホール  司会 岩井淳氏
  
・14:00-16:00

  部会1 於、18号館4階コラボ1 司会 桃木至朗氏
                     *高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方

   部会2 於、コラボ2 司会 坂井俊樹氏 
                     *各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築

   部会3 於、コラボ3  司会 油井大三郎氏 
            *高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方

   部会4 於、コラボ4 司会 割田聖史氏    
                     *大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方

   部会5 於、18号館4階オープン・スペース 司会 岩井淳氏 
      *大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方

16:00-17:00  
   運営委員会 於、コラボ1 司会 油井大三郎氏

・17:00-18:00
総会 於、18号館ホール 司会 金井光太朗氏