2015年8月4日火曜日

委員会・部会について


当会は、地域別・教科別研究会連絡委員会を通じたネットワークの構築の他、5つの部会活動を通じ、会員間の意見交換を進めるなかで、適宜、改革提言などを行うことを目的としています。

各部会のテーマおよび創設大会で行った議論の要旨は、以下のとおりです。
(より詳しい内容は、会員向けに配信する電子ジャーナルにておって報告いたします)


●地域別・教科別研究会連絡委員会

地域別・教科別研究会の現状交流を目的とした地域別・教科別研究会連絡委員会には、
以下の七つの研究会を中心に、オブザーバーを含めた多くの方が参加した。
七つの研究会とは、世界史教育研究会(新潟県)宮城県高等学校社会科教育研究会歴史部会大阪大学歴史教育研究会高等学校歴史教育研究会茨城大地域研究会静岡歴史教育研究会京都高等学校社会科研究会であり、いずれも連絡委員の派遣を決定している。
連絡委員会は、岩井淳の司会のもとで進行した。最初に七つの研究会の代表が、①研究会の活動開始時期、②研究会の構成員、②活動内容、③高大連携歴史教育研究会に望むことなどについて話した。
その後、七つの研究会の代表が別室に移り、各研究会の互選という形を取って、委員長と副委員長を選出した。前者には高等学校歴史教育研究会の代表の油井大三郎が、後者には京都高等学校社会科研究会の川島啓一が選ばれた。
今後、地域別・教科別研究会連絡委員会には、各地域・各教科別に多くの研究会が参加することが見込まれ、その経験交流を主な課題とすることが期待される。


●第1部会
 
《テーマ》 高等学校の世界史・日本史教科書改革と思考力育成型授業のあり方

教科書改革と歴史的思考力の育成を扱う第一部会には40人余りが参加し、桃木至朗の司会のもとで活発な議論がかわされた。
自己紹介のあとの自由発言では、他の部会との関係や、歴史的思考力の内容を明確化する必要について多くの意見・要望が出されたほか、教える対象の生徒、教科書と掲載用語、資料、評価法・入試、教職教育などについても、教科書と思考力という2つの課題の間に矛盾があるという指摘を含めて、発言が相次いだ。
これにもとづき今後、指導要領改定や新型入試の施行などに間に合うように可能な提言をまとめる方向で活動することが了承され、そのためのワーキンググループとして高大双方から9名(うち女性2名)が選出された。
部会長には桃木、副部会長に小川幸司(長野県)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、加盟組織との協力による公開研究会など、活動を可視化するためのイベントも開催できればと考えている。


●第2部会

《テーマ》 各地の教育実践や史料集作成などの交流とデータベース構築

データベース構築や資料収集に関する第二部会は、20数名が出席して坂井俊樹の司会のもとに、まず自己紹介をかねてこの分科会に期待することなどを自由に述べてから、フリーディスカッションとなった。
とくに高校教員が多く出席していた第二部会では、教員の退職にともなって蓄積された授業方法を継承する必要や、アクティブ・ラーニングの導入に備えて協力して指導法を開発することへの期待など、これまで各先生方が開発・蓄積してきた教材や教案をデータベースとして蓄積して公開し共有していくことについて、熱い期待が述べられた。
歴史教育の現状と今後の制度変更の展開についても議論があり、現状認識を共有しつつ可能なデータ収集の方法を模索してゆくことが確認された。ワーキンググループには多くの方が参加を希望されて10名で構成することになり、部会長に小浜正子、副部会長に後藤誠司(京都)を選出した。
今後、会報の編集担当とも協力しつつ、データ収集・共有の方法を考えてゆきたい。


●第3部会
 
《テーマ》 高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方

高等学校における歴史系新科目(歴史基礎など)のあり方を担当する第三部会には、40人弱の人が参加し、油井大三郎の司会のもとで活発な議論が行われた。
油井は、この部会では、歴史教育の内容を現場の状況を踏まえて、ボトムアップで提案していく必要性を強調し、今文科省で検討されている「歴史基礎(仮称)」は、日本学術会議が、世界史未履修問題から明らかになった歴史教育の状況を改革する「提言」を踏まえていることを述べた。
分科会での討論は、「歴史基礎」の具体化をめざすことを前提に、文科省の研究開発学校になっている神戸大学付属中等学校のプランなどが報告され、取り扱う時代、歴史学習の基礎学力、入試との関係、担当教員の現状など、様々な意見が出された。この出された意見を集約し、新しい歴史科目を構築していくことが今後の課題となった。
そのために、ワーキンググループとして高大双方から6人が選ばれ、部会長に君島和彦(東京)、副部会長に藤村泰夫(山口県)が選ばれた。


●第4部会
 
《テーマ》 大学入試・高校新テストなどの検討や歴史系出題のあり方

第四部会は、「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」「高等学校基礎学力テスト(仮称)」(以下それぞれ、「大学新テスト」「高校新テスト」)などの検討およびそれらにおける歴史系出題のあり方を検討する部会である。
30人ほどが参加し、当日の司会は割田が務めた。そこでは、「新しい時代にふさわしい高大接続の実現に向けた高等学校教育、大学教育、大学入学者選抜の一体的改革について」のタイムスケジュールに従うと、2016年度に作問イメージが公表されるとされていることから、このスケジュールをにらみつつ、提言を準備していくこととなった。また、そもそも、両「新テスト」および私立を含めた歴史系の出題で問われるべきものは何かが根本的な問題であり、この問題は他の部会との連携が不可欠あるという議論が行われた。
提言を行い、根本的な問いを考えていくために、まずは情報の収集が不可欠であり、現行の大学入試センター試験・個々の大学の入試に対する高校側の評価や各大学での入試の考え方などについて様々な情報を得るために部会全員が参加するメーリングリストを作ることとした。
さらに、具体的な提言をまとめていく際に中心となるワーキングループとして、11人(高校5人、大学6人)が選ばれた。部会長には割田聖史、副部会長には中切正人(岐阜県)が選ばれた。


●第5部会
 
《テーマ》 大学における歴史系の教養教育や教員養成課程のあり方

大学における歴史系の教養教育と教員養成課程のあり方を問う第五部会には、30人が参加し、岩井淳の司会のもとで議論がかわされた。参加者には、高校や大学の教員以外に大学院生も含まれていた。
最初に自己紹介を行なったが、その中で各大学や高校、研究会での取り組みが紹介され、変貌を余儀なくされる歴史系の教養教育と教員養成課程の姿が浮き彫りにされ、とても興味深かった。自己紹介後に司会からお願いして、歴史系の教養教育について大阪大学の取り組みを秋田茂に、歴史系の教員養成について静岡歴史教育研究会の実践を浜松西高校の松井秀明にお話しいただき、意見交換を行なった。そこでは、大学の教養教育が高校教育からの入口となり、高校教員などを養成する教員養成が高校への出口となることが確認され、ともに高大連携の観点から見て重要な意味をもつことが認識された。
今後は、教養教育と教員養成課程について各大学のデータを集め、現状を把握することが必要であろう。その作業に着手し、提言をまとめるためのワーキンググループを高大双方から8名選出した。部会長には岩井、副部会長に戸川点(都立町田高校)が選ばれた。今後の活動はメールでの提案・討議などを軸としながら、第5部会や高大連携歴史教育研究会のメンバーとの意見交換を進めていきたい。

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