大阪大学歴史教育研究会第95回例会のご案内をいただきましたので、ご紹介します。
今年度の活動方針も示されるとのことですので、新規の方も、これを機会にふるってご参加いただけますよう、お願いします。
詳細は、公式ウェブページをご覧ください。
日時:2016年4月16(土)13:30~17:30
会場:大阪大学豊中キャンパス文学研究科本館2階大会議室
プログラム:
(1)桃木至朗(大阪大学大学院文学研究科教授)
「高校歴史教育・ 入試改革の動向と大阪大学歴史教育研究会2016年度方針」
【報告要旨】
昨夏に中教審で高校新科目「歴史総合」 の設置やアクティブラーニングの全面導入が決まり、 来秋までに固まるとみられる学習指導要領が、 2022年度から実施される。一方、 高大接続システム改革会議で検討が進められている新型入試は、 高校基礎学力テストが2019年度から、 大学進学希望者学力評価テストが2020年度から実施の予定で、 後者には現行指導要領のままで地歴が含まれると見られる。 阪大歴教研はこれらについて教化教育学などの立場で直接研究する 場ではないが、これらに無関心では、 高校教育だけでなく大学側の教養教育・ 専門教育や教員養成教育の現場で起こるであろう変化に対応できな い。それでは大学側がおこなう高大連携活動の意味が失われる。 本年度は、こうした緊張感を持ちながら、 科学研究費による汎用的な歴史学入門の作成作業を領域・ テーマごとに本格化させたい。 本報告ではその教育現場での必要性や意味をあらためて示すととも に、昨年発足した全国組織「高大連携歴史教育研究会」、 各地での地域連携活動などの取り組みについても紹介したい。
(2)岡本充弘(東洋大学人間科学総合研究所客員研究員)
「歴史の作り手・オーディエンス・媒体」
【報告要旨】
『国境のない時代の歴史』(1993)で提示したこと
・歴史認識のありかたと問題点・戦後日本の歴史意識・ 歴史と近代イデオロギー・歴史と進歩・歴史とアナクロニズム・ 歴史と未来・グローバリゼーション・歴史という名の「知」
『開かれた歴史』(2013)で問題としたこと
・言語論的転回の意味・歴史とナショナリティの関係・ グローバルヒストリーの可能性・歴史の多様性・ 文字的歴史と口述の歴史、画像的映像的歴史・歴史の脱構築論
『歴史を射る』(2015)で問題としたこと
・サブタイトルは言語論的転回・文化史・パブリックヒストリー、 ナショナルヒストリー。
以上の問題に加えてサブカルチャー(ゲームや漫画)との関係、 などに焦点をあてた若手研究者の文章を合わせて掲載した
現在プロジェクト(「 歴史研究の新展開とグローバルシティズンシップ」) で進行させていること
・ヒストリー・イン・アカデミック・プレースとヒストリー・ イン・パブリック・プレースの関係
・歴史とメディアの関係
・歴史の共同化の問題(例えばreconciliation) 歴史の個人化の問題
などのこれまで考えてきた問題を、とくに専門的な歴史研究( 客観的事実の解明を目指すとされる)、歴史の教育( 歴史研究者によって確立された事実を伝えているとされる)、 そして教育を含めてパブリックな空間における歴史の受容( あるいは変容)との関連、 また近年の国際的な歴史研究の動向をふまえて提起する予定です。
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