2016年6月2日木曜日

大阪大学歴史教育研究会・第97回例会

大阪大学歴史教育研究会より、第97回例会の案内をいただきましたので、お知らせいたします。

学界を牽引する中堅・若手研究者による最新の研究動向の紹介および今後の展望に触れる機会となると思いますので、みなさまの奮ってのご参加をお待ちしております。

また、詳細につきましては、阪大歴教研の公式ウェブサイトをご覧ください。
(お問い合わせは、高大歴教研ではなく、阪大歴教研の担当者までお願いいたします)


大阪大学歴史教育研究会・第97回例会


日時:2016年6月18日(土)13:30~17:30


会場:大阪大学(豊中キャンパス)文学研究科本館2階大会議室


プログラム:

【1】市 大樹(大阪大学大学院文学研究科准教授)

 「古文書学から史料学へ―日本古代・中世史の研究分野を中心に―      」

【報告要旨】

 歴史を研究する際に必要不可欠な素材、それが史料である。現在、歴史学が対象とする(ことが期待されている)史料の範囲は極めて広い。かつて日本史(国史)の分野においては、史料といえば、文字資料(文献史料)が主に想定されてきた。文字資料を文書・記録・編纂物に大別した上で、文書を最も重視して、古文書学が発展してきた。やがて、文書の概念に再検討が加えられるとともに、文書のもつ非文字情報の重要性も浮かび上がってきた。また、木簡など新たな文字資料の出現、考古学の飛躍的発展に加えて、文書館学(アーカイブス)の隆盛、ポストモダン(特に言語論的転回)の影響なども無視できなくなってきた。さらに、阪神・淡路大震災や東日本大震災などを契機に、史料の保全・活用も大きな課題となってきている。こうした情勢のなか、古文書学の成果を取り込んだ史料学を構築する必要性が高まっている。本報告では、日本古代・中世史の研究分野を中心に、古文書学から史料学へいたる流れを概観してみたい。



【2】後藤敦史(大阪観光大学専任講師)

 「地図からみる日本の空間認識」

【報告要旨】

 人びとの空間認識、という問題を歴史的に考える場合、地図は重要な史料となる。このような観点で、近年、地図に着目した研究が大きく進展し、さまざまな事実が明らかにされてきた。それは、日本史学の分野においても例外ではない。たとえば、歴史的にみて、日本列島に住んでいた人びとが、どのように「日本」を意識し、それがどう現代につながっているのか、という点が、多様な地図史料から検討されている。本報告は、これらの近年の研究成果によりながら、日本列島をめぐる空間認識の特徴とその歴史的な変化の過程をたどりたい。その際、地図に関わる世界史的な動向にも留意して考察を進めていく。そのうえで、「史料と空間」という問題について議論を深めていくことを目指したい。

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